大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和28年(う)562号 判決

原判決挙示の各証拠、就中、原審第三回公判証人尋問調書中証人西村忠治、同前川稔の各供述記載、西村忠治、前川稔、及び白川松次郎に対する検察官事務取扱検察事務官作成の各供述調書の記載等を綜合すれば、原判示第二の事実、すなわち被告人が原判示日時場所に於て、李京雲外一名より盗賍品であることの情を知りながら、銅線十二貫匁位を代金壱万八百円で買受けて賍物の故買をした事実を肯認することが出来る。弁護人は「被告人朴桂俊は、原判示物件が盗賍品であることの情を知らなかつたものである。」と主張するけれども、前記の証拠を綜合して肯認し得る諸般の事情、殊に、原判示物件が裸の銅線であつて、しかも、其の重量は十貫匁を超えるものであり、ただ、一尺程の長さに切断された上、束ねられては居たけれども、其の全部が同一の素材より成るものであつて雑多なものの寄せ集めではなく、一見して、該銅線が特定一個の場所をその出所とするものであることを識別し得る状態にあつたこと斯る多量且均質の屑銅線を個人が所有することは、世上稀に見る事例に属し、従つて、斯様な物品を取扱うに際しては、其の出所について一応疑念を抱くのが屑鉄商の常識とするところであつたこと、被告人が李京雲外一名より該銅線を買取るに際し「危いものでないか」との問を発し、これに対し売主から十分な答弁を得なかつたこと、被告人朴は、それ以上該物件の出所につき、何等具体的に追及することなく、「よし判つた判つた」と答えて、原判示の如く、これを買受けたものであつたこと、被告人朴は、該取引と相前後して数回に亘り、原判示第一項掲記の通り、類似の事情の下にいづれも銅製品である賍物を故買していること、等の諸事実に徴すれば、被告人朴は、原判示物件が賍物であることの情を知りながら敢てこれを買受けて賍物を故買したものであることを認定するに足るから原判決は事実を誤認したものでなく、論旨は理由がない。

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